大阪都構想で生活はどう変わるのか

大阪都構想」の大きな目的は「広域行政と基礎自治の役割を明確化すること」です。
広域行政の意思決定機能を一本化することは都構想の重要な目的の1つですが、ここでは基礎自治についてのお話しをしていきたいと思います。

特別区とは

大阪市長

都構想が実現すると現在の大阪市は4つの特別区に再編されます。
現在270万人を超える人口を抱える大阪市は、広域と基礎自治の両方の機能を持つ巨大な役所組織です。
そしてその巨大な役所組織を動かすのが、選挙で選ばれた「たった1人の大阪市長」です。
大阪市にある24の区は行政区と呼ばれるもので、行政区長を選挙で選ぶことは出来ませんし行政区長には予算編成や執行する権限はありません。
一方で今よりも住民に身近な行政を目指す特別区は、大阪市よりも人口規模も小さく基礎自治に特化しており、区長や区議を選挙で選べて特別区長には予算編成権や執行権があります。
しかし多くの方が「広域一元化のメリットはなんとなくわかるけど、特別区が出来たら実際に生活はどう変わるのか」ということを不安に感じておられると思います。

都構想は行政の制度の話し

まず前提として知っておいて頂きたいことは、都構想とはあくまでも「行政の制度を変える」という話しだということです。
行政の制度を良いものに変えたからといって、いきなり劇的に生活が変わるなんてことはありません。
しかし4つの特別区に再編することで確実に変わることがあります。
それは大阪市よりも住民の意思が圧倒的に反映されやすくなるということです。
たとえば現在の大阪市は1つのテレビ局しかない状態です。
淀川区の住民が観たい番組と住之江区や鶴見区や平野区の住民が観たい番組はそれぞれ違いますし、テレビ局が1つしかないので各区の住民のニーズに応える番組を放送することは出来ません。
その上、大阪市は広域事業用の番組も放送しなければならず、この広域事業用の番組の制作費に多くのお金を使ってしまったり赤字を出してしまうと、住民のニーズに応える番組作りがさらに難しくなってしまいます。
そこで4つのテレビ局を設置して、広域事業用の番組は府に任せるのが都構想による広域一元化、そして各特別区の住民のニーズに特化した番組ばかりを放送しようというのが都構想による特別区の設置です。
当然ながら各特別区で住民のニーズが違いますし、大阪市よりも住民のニーズが反映されやすくなりますので、番組内容にもそれぞれの区で特色が生まれてくるでしょう。

分市ではダメなわけ

ここで4つのテレビ局を用意するなら特別区ではなくとも、市を4つにわける分市でも同じではないかという疑問を持つ方もおられると思いますが、分市ではダメな理由があります。
それは分市だと「財政調整」が出来ないのです。
4つのテレビ局が出来ても番組を作るのには制作費がかかります。
各特別区で番組の制作費に差が生まれないようにするため調整をする仕組み「財政調整」です。
市をただ4つに分けるだけではこの仕組みが無いので格差が生まれてしまいます。

最後に

行政区

上で説明した通り都構想とはあくまでも「行政の制度を変える」というお話しです。
今の大阪市という制度のままで、多様化する住民のニーズに応えるには限界があります。
ある地域の住民が番組内容の変更を求めても、他の大多数の地域の住民が番組存続を求めれば、その番組は変更されることなく続いてしまい、番組内容の変更を求めた住民の意向は叶わないままとなってしまいます。
大阪市から特別区へ行政の制度を変えることで、叶わないままの住民の意向を反映させやすいようにするのが「都構想」です。
今この機を逃せば、叶わないままの住民の意向は永遠に叶わないままとなってしまうかもしれません。
そうならない為にも、都構想の実現を願ってやみません。

(文責 ヨウ)