府市を統合して広域事業を一元化する、それが都構想の大きな目的の一つ。何故、それが必要なのかという理由を自分なりに説明してみたいと思う。
現在、府市が協力してしている事業は幾つもある。関西万博、なにわ筋線、淀川左岸線、うめきた、決定はしてないがIRもその一つ。これら全て大阪全体に利をもたらすもの。そこに投資する事は、大阪全体を見れば当然するべき事に他ならない。
が、大阪市はそれに対してずっと消極的だった。
大阪万博2025
今回の関西万博ではなく前の大阪万博、あれも大阪市は誘致する計画をたてていた。同じ頃大阪府も万博を誘致する計画を立てていた。それを知り、お互い自分のところに呼ぼうとすさまじい招致活動を繰り広げる事になる。最終的にはこのままでは他国に負けてしまい大阪万博そのものがなくなると感じた市が府に譲った事で大阪万博は開催された。その場所が今の万博公園。万博がくるのだから、本来、市からの客誘致の為に市内から鉄道を引っ張るべきであるのだが、前述の通り府が誘致したものであるので府がモノレールを整備する事になった。もし、ここで市が協力して鉄道路線を引いていたら今の万博公園へのアクセスの利便性は大きく変わっていただろうと思われる。
関空から梅田に向かうこの路線、関空からの市内アクセス向上には必要なもの。その必要性は理解しつつも大阪市が負担する金額が大きくなる事から維新以前の市は建設に舵をきる事はなかった。今、関空からのインバウンドに沸く大阪において、この路線があったら外国人観光客の多さに利用者が迷惑する度合いは大きく減少していただろう。関空についてもう一つ。着陸料が高く敬遠されていた関空改革を持ちかけた府に対し、平松市長(当時)は「勝手にしてください、(関空からの恩恵のない)市には関係ありまへん」と言い、関空改革への市の関与を拒んだ。関空には市も建設費を出しているというのに。今インバウンドに沸く関空からの恩恵を一番受けているのはどこなのか、それがその考えの間違いを証明しているだろう。
淀川左岸線
【出典】大阪市:淀川左岸線延伸部について
阪神高速のミッシングリンクと呼ばれ、これがあれば渋滞解消効果や物流の改善にも繋がると早々に言われていたにも関わらず、計画で市内を走る部分がほぼトンネルである事から、市への利点が少ない事を理由に積極的に進める事をしようとしなかった。関西財界から経済に対しての効果を説明され建設を促されていたにも関わらず。
梅田北ヤードは再開発されうめきたへと生まれ変わる。「大阪最後の一等地」と呼ばれ、大阪の経済に大きく寄与するであろうこの地区の開発もなかなか進まなかった。大阪市に財政的余裕がなかったせいである。本来、うめきたの開発は大阪全体に影響を与えるエリアでなので、府がするべき広域事業にあたるはずであるが、その地域が市内であるが為に市がその事業をするしかない。橋下知事時代に府市で開発する話となったが、その形でまた決裂する事に。結果的には後のダブル選挙で府市ともに維新首長となり今のうめきたのイメージが共有され、その方向で開発する事になり、今開発が進んでいるのは周知の事実だろう。
ここまでのコラムの流れをみると、大阪市が邪魔をしている様に感じる人がいるかもしれないがそれは違うと思う。大阪市は何も間違った事はしていない大阪市の視野としては。大阪市長、大阪市役所の役割は大阪市民の利益を一番に考え、大阪市民の為の事業(山程のいらないハコモノ事業をして市民に損害を与えた事はあるが)をする。それは当然の事だし、そうでないといけない。そこに大阪全体をみる姿勢は当たり前だがない。しかし、関空改革をみても直接大阪市には関係ないと思われる事も、大きく大阪市の経済の浮揚に関わってくる。最早、大阪市の経済は大阪全体の経済と一体化してきている。大阪市だけの視野ではなく、大阪全体を考える、大阪全体をみる視野へと変える為に広域事業を一元化、事業についての視野を大阪府全体をみるものに一本化する事はこれからの大阪の発展の為には絶対に必要なものであると私は思う。
(文責 仏)