自民党の大阪市議が作った「今さら聞けない「大阪都構想」」というサイトに下記の見出しがあります。
「都構想の特別区になると、大阪市民は二重に納税!?」
このコラムではこの見出しが正しいかどうかを検証していきたいと思います。
まず結論から先に申し上げると、この見出しは間違いです。
特別区民個人の払う税金が二重払いになるということはありません。
以前のコラム「名前が変わるだけではない特別区民税」でも書かせて頂きましたが、大阪市は個人の市民税の使われ方に広域行政と基礎自治行政の線引きがありません。
ですので、実は個人の払う税金が二重払いとなっているのは現在の大阪市のほうなのです。
大阪府は広域行政を担い、政令指定都市である大阪市は広域行政と基礎自治行政を担っています。
大阪府と大阪市が持っている権限の問題から、大阪市民は広域行政に対して個人府民税と個人市民税の両方から払っていることになります。
しかし広域行政に対して大阪市民は二重に納税していながら、大阪市民がその恩恵を受けて来たかというと残念ながらそうではありません。
広域行政においては制度的な問題から府と市が二元行政となるため、府が大阪市域の広域行政に口出しできない状況となり二重行政を生み出してきました。
ここで問題なのは、府と大阪市の両方が事業に失敗した場合、大阪市民は失敗の負担を二重に背負わなくてはならないということです。
事実、大阪市民の一人当たりの借金は府内でダントツで多いという状況を招いてしまいました。
過去に失敗したのは政策的な面も大きいですが、府と大阪市で2つの同じような政策を進めてしまえる体制に大きな問題があります。
また、このような体制では大阪全体の成長戦略を描けるはずがありません。
ですので、広域行政の権限を府に一元化して大阪全体の成長戦略を描ける「都構想」が制度として望ましいと考えています。
都構想は制度的に広域行政の権限が府に一元化することから、大阪市の廃止に伴い設置される特別区は住民に身近な基礎自治行政に特化した自治体になります。
特別区民が納税する税金は個人府民税と個人区民税となりますが、都構想が実現すると制度的に府と特別区の役割分担が明確化するので個人の税金の使われ方も明確化されます。
つまり大阪市の場合とは違い、個人の払う特別区民税はその特別区のためだけに使われる税金となり、広域行政に対して個人の払う税金による二重負担が無くなるのが都構想なのです。
以上のことから、「都構想で特別区になると、大阪市民は二重に納税!?」というのは間違いであり、むしろ大阪市の場合のほうが住民個人は二重に納税している状態であることはご理解頂けたと思います。
大阪市民個人の税金が二重負担となっている現状を改善するためにも、11月1日予定の住民投票で都構想が可決されることを願っています。
(文責 ヨウ)